備忘録96(2019.12.18)

今日は相談支援従事者の初任者研修。例によって集団指導(←これ、業界用語だよね)よろしくただの「踏み絵集会」で苦痛でしかなかったんですが、最後の講義1コマだけが異様に聴き応えがありました。

障害者虐待防止の講義でしたが、事業所スタッフによる虐待の背景の一つとして、「アイデンティティを確認できる対象が利用者しかいない」という職場環境が挙げられていました。

「自分が価値ある存在であること」を確認できる相手が「利用者しかいない」--最初は利用者に対する働きかけで本人から感謝されたり、本人が笑顔になってくれることが「やりがい」だったけれども、それが徐々に感謝や笑顔の「強要」→「支配的(管理的)な関わり方」へと移行していき、虐待につながっていくという…

仕事での自己肯定感を感得できる機会が「利用者との関わり」に限定されることを防ぐためには、先輩や上司も含めた「同僚」からの励ましであったり、称賛であったり、時には情理を尽くした叱責・指導であったりといったコミュニケーションが機能する「職員コミュニティ」の存在が重要なファクターになってくると…。

いつぞや私も愚痴ってしまいました。そう、職場での承認欲求をどう充足させるか問題…これもモロに絡んでくるなぁ…と。やべ、おれ、虐待加害者予備軍じゃんと、講義を聴きながら一人ビビっておりました。

それと、いわゆる「バーンアウトシンドローム」って、バーンアウト=燃え尽き=「完全燃焼」をイメージしてるんでしょうけど、こと福祉の業界で多いのは「不完全燃焼症候群」なんだとか…

利用者のケアや支援に当たって、「もっとこうしたらいいのに」「自分のやっていることは間違ったケア/支援じゃないのかな?大丈夫かな?」…などなど、モヤモヤを抱えている時に、「自分の裁量が分からない」し、「誰も評価してくれない」し、仮に声を上げても「何も変わらない」し…そこに由来する「諦め」が元になって、「辞める」か「今の職場の在り方に自分を染める」かの二者択一を迫られて疲弊していく…

労働負荷が大き過ぎて「燃え尽きる」んじゃなくて、労働負荷の「かかり方が曖昧」過ぎて、「全力を尽くそうにも尽くせない(燃え尽きようにも燃え切れない)」しんどさ…

これも「職員コミュニティ」の存在と、そこを基点とした組織の「自浄作用」がきちんと稼働すれば解決・改善できるかもしれないのに…

そんな内容の講義だったもんだから、夕方の眠気も吹っ飛んで、ギョギョっと身につまされたのでした。