備忘録88(2019.08.19)

戦後、アメリカ占領軍の軍属として働いていた日本人が、朝鮮戦争の勃発によって半島の「前線」にまで送り込まれていた。しかも「通訳」や「炊事係」としての従軍だったはずなのに、いつの間にか銃を持たされ、戦場で人を殺したり、逆に殺されたりしていた…「日本国憲法」施行後の話です。

アメリカで保管されている公文書の調査によって発覚した重大な事実。アメリカにとっても、日本にとっても「不都合な事実」であったため、長らく隠蔽されてきたようですが、それでもアメリカでは、法律に基づいて、こうした公文書がきちんと保存され、時間が経てばきちんと公開される。その中身が国にとって「不都合であろうとなかろうと」です。

片や日本では…敗戦直後に戦争責任に関する「不都合な公文書」が焼き払われたことをはじめ、現代でも公文書の改竄・捏造・隠蔽・破棄・ずさんな管理…果ては「そもそも記録を公式に残さない」ということすらも平然とおこなわれている。

日本における「民主主義」や「法治国家」の仕組みというものが、いかに「形」だけのものなのか…公文書に対する取扱いの「態度」や「姿勢」一つをとってみても、そうした側面が浮き彫りになります。

日本の高度経済成長は朝鮮戦争による特需景気(軍需)に端を発していること、そもそも朝鮮半島の分断自体が日本の植民地支配を背景としていること、これだけでも、私たちは半島の「隣人たち」の「今」に対して、重い責任や負い目も含めた深い関わりを持っている。

そして、今回明らかになった、平和憲法下で日本人が当事者となった「戦闘参加」や「戦死」の事実。しかもそれが朝鮮戦争中の半島で起きていたということ。これこそ、歴史の教科書に追記されないといけない気がする。公文書の保管~継承が保障されない絶望的な国だからこそ、いろんな媒体でこういう事実を「残して」ほしい。

このドキュメンタリーの制作・放送に携わった皆さんに感謝します。すごいです。これだから、NHKを諦める気になれないんですよねー。

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/3115648/