備忘録51(2018.06.20)

「安倍首相は○○○○と述べました」
「政府は○○○○という見解です」
「○○法案は与党による賛成多数で可決されました」

マスコミはこれが「政治的に中立」な報道の在り方だと判断しているのかもしれませんが、今やこれはただの「大本営発表」でしょう。政府与党の「広報担当」ならともかく、公共放送(国営放送ではない)や民放がこれをやっちゃいけないのではないでしょうか。

「政治的に中立」というのは、そもそも可能かどうかも怪しいですが、仮に可能だとして、いろんな解釈があるんでしょうけど、放送法のような法律が「何のためにあるのか/作られたのか」を考えれば、それは「国家権力に阿らない」という意味でしかあり得ないですよ。

「対等な立場の二者」に対しての「中立」は、「どちらの側にも立たない」とか「双方の中間に立つ」という意味でいいんでしょう。しかし、「持つ者と持たざる者」や「強者と弱者」のような「対等でない二者」に対して「中立」であるためには、「双方の中間に立つ」だけでは不十分です。

意図的に「持つ者・強者に加担しない」ことによって、相対的に「持たざる者・弱者が負っているハンデを軽減する」=「両者の関係を対等に近づける」ところまで働きかけて初めて「中立」と言えるのではないでしょうか。

なので、マスコミが「国家権力」と「一般国民」という「実質的に対等でない」両者に対して「政治的に中立」な立場を守るというのであれば、以下のような報道のスタンスをとるのが筋でしょう。

「安倍首相は○○○○と述べました。相変わらずまともに質問に答えようとしていません。日本語の会話になっていないですね」

「政府は○○○○という見解です。明らかに国民を馬鹿にしていますね。これで納得しろというのはかなり無理があります」

「○○法案は与党による『賛成多数』で可決されました。しかし正確に言えば、これは明らかな『強行採決』で、与党はまたしても、ろくに審議も尽くさず、数を恃みとする暴挙に出ました」

これぐらいのことを言って初めて「政治的に中立」を謳う資格があると思うのです。決して難しいことではなく、要は「常識」に基づいて「まともなこと」を言えば事足ります。「政権に批判的な姿勢・態度」が、実は最も「政治的に中立」であることを大多数の人たちは何となくでも知っているはずなんです。