備忘録22(2017.05.24)

ユン・チアン/土屋京子(訳)『ワイルド・スワン (上・中・下)』(講談社文庫)講談社,1998.

 

私の母とちょうど同時代を生きてきた著者(女性)が、自身の祖母~母、そして著者自身の目線で激動の20世紀中国を捉えた大作。ノンフィクション小説というか、もはやルポにも近いものを感じた。

特に「文化大革命」時代における中国社会の有り様(中~下巻)は、どこかの国のそう遠くない将来を連想させて余りあるほどのリアリティに満ちている。

人々が他でもない自分自身の「内面」や「感情」に対してまで「自己検閲」をかけ続けなければ生き抜けない社会。そしてそういう社会状況をこそ最良とする為政者。

今読んでおかないと、本当にそのうち読めなくなるかもね。