備忘録58(2018.07.12)

遅蒔きながら読みました。これ、現代日本人必読だと思います。檻=憲法、ライオン=国家権力に見立てて、日本国憲法のエッセンスはもちろん、近年問題になっている憲法関連のトピック(特定秘密保護法、安保関連法制、自民党憲法改正草案に盛り込まれた「緊急事態条項」の創設など…)についても分かりやすく解説しています。

「おわりに」の一節が、とても身につまされます。

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動物園に行ったとき、檻の中の動物(=政治家)には目がいきますが、「檻ってありがたいなー」なんて思いませんね。でも、檻がなかったら、動物園を楽しむことはできません。動物園で「檻」のありがたみが感じられないのは、檻が檻としての役割を果たしているからです。檻は、きちんと役割を果たすほど、逆に存在感がなくなってしまうのです。もし、檻が壊れかかってライオンが顔をのぞかせていたら、檻に注目するでしょう。ライオンが檻から出て暴れまわったら、みんな檻のありがたみを痛感するでしょう。でも、そうなったときには手遅れかもしれません。
憲法のことを意識せずに暮らすことができるのは、憲法のおかげです。
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この一節を踏まえて、私たちが今一番肝に銘じなければならない条文は「第12条」ではないかと思います。

「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」

まるで大多数の?現代日本人の立ち居振舞いを見越したような条文ではありませんか?私たちが「絶え間ない努力を怠れば、基本的人権などの権利や自由なんかは、たちどころに消し飛んでしまう」と。政治への無関心を戒めるこれ以上の警告はありません。

後半の一文もまた、例えばヘイトスピーチやそれに類する言説が「表現の自由」の「濫用」に当たることを示唆するなど、基本的人権を守る上で重要な部分だと思います。

一方、アベ友自公政権の人間たちが最も踏みにじっている条文が第99条でしょう。

天皇又は摂政及び国務大臣国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」

憲法を尊重し擁護するどころか、堂々と憲法を無視して、破壊しようとしているわけですから。

最近は、日本人であることが恥ずかしくなるようなことばかりで、すっかり滅入ってしまっていましたが、この本を読みながら、改めて日本国憲法の前文や条文に目を通していると、こういう憲法を戴いている国で生まれ育って、今も暮らしていることって、誇っていいんだろうなと思えました。

だから、やっぱり守んなきゃいけないんです。あの破壊者どもから。私たちの「誇り」を。

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