備忘録99(2020.01.06)

10年以上苦楽を共にしてきた相棒が、ついにここまで「カッコ悪く」なってしまった。さすがにこれは酷いっしょ…。

メンソールじゃないほうのパッケージなんか、往時は新幹線のカラーリング(青と白)のモチーフにまでなったほどのスタイリッシュさを誇っていたというのに(NHKチコちゃんに叱られる」調べ)…。

なんぼ喫煙人口を減らすためとは言え、この無粋な注意書はなんとかならんもんかね?煙草に限らず、今世間はこれに似た「過度な注意書」で溢れている。宅配トラックの「私は法定速度を守って運転します。お先にどうぞ」ステッカーとか、「車の下に潜り込まないでネ」ステッカーとか、テレビ番組に出てくる「※個人の感想です」スーパーとか「※諸説あります」スーパーとか…

「んなこたぁ、言われんでも分かっとるわい!」な注意書のオンパレードのせいで、いろんなモノのデザインが持つカッコよさや風情なんかがたちどころに消し飛んでしまう。

「んなこたぁ、言われんでも分かっとるわい!」なことでも書いて(明示して)おかないと、コンプラがどうじゃの、訴訟起こされたら勝てんだの…

別にそういう過度な注意書を「書いている」側に腹を立てたり、失望しているわけではありません。逆です。お気の毒に…ぐらいに同情さえ覚えます。反対に、過度なまでの注意書がなければ「コンプラ違反だ!」と騒ぐ連中や、訴訟を起こすような連中にこそ、腹が立つし、失望しています。

「んなこたぁ、言われんでも分かっとるわい!」なことは、文字通り、わざわざ明示しなくても「織り込み済み」なわけです。

煙草が身体に悪いことは「誰でも」知ってるし、乗用車が法定速度を守らないといけないことも、子どもが車の下に潜り込んで遊んだら危ないことも、通販番組でインタビュー受けてる人の感想があくまで個人的なものであることも、テレビで言っていることに諸説あることも…「みんな」分かってるんです。「一定程度のリテラシーを備えている人なら」という条件付きで。

つまり、ここで「コンプラ違反だ!」と騒ぎ立て、自分の落ち度で損害を被ったくせに「この損害はちゃんと注意書があれば防げたはずだ!」と訴訟を起こす連中は、この「織り込み済み」であるところの常識を物事から読み取ることのできるリテラシーが「欠如」していることを、自ら吹聴しているのと同じだと思いませんか?「私は非常識なおバカさんです!」って大声で宣言しているようなもの。

そして、そういう連中の「声」によって、世間にここまで「んなこたぁ、言われんでも分かっとるわい!」が溢れるようになってしまったということは、その「声」に「一理あり」とする社会通念が既に出来上がってしまっていることを意味します。でもそれって…「日本社会はリテラシーと常識の欠如したおバカ社会です」宣言に等しい気がするのですが…。

煙草のパッケージ一つを眺めているだけでも、世知辛く、無粋な世の中になっちまったもんだ…はぁー…と、深い溜め息をつかずにはおれない、そんな2020年がスタートしたのでした。
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