備忘録18(2017.02.18)

加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮文庫)新潮社,2016.

 

中高生への講義録をまとめた本なので、とっても読みやすい。しかも、史料的なエビデンスをもってきちんと「冷静に考えさせてくれる」秀逸さ。

日本人は「戦争」に「巻き込まれた」わけでも、戦争を始めざるを得ない状況に「追い込まれた」わけでもなく、最終的に自ら戦争を「選んだ」。

「戦争」を選んだのは、今を生きる私たちではないけれども、選んだ当時の日本人と地続きに今を生きるからには、私たちはその結果責任を「無条件」に引き受けなければならない。そして、今を生きる私たちの「選択」によって生じる結果責任はまた、「無条件」に「将来の日本人」が引き受けなければならない。

「戦争があった」という事実を知ることとも違う。「あの戦争は悲惨だった」という経験を知ることとも違う。「何故戦争に敗けたのか」を分析することとも違う。「何故戦争を選んだのか(始めたのか)」に思いを致さなければ、「選択の結果責任」をきちんと負うことも、負わせることもできない。

こうしている今も、「選ぶ」過程を生きている私たちだからこそ、読んでおいた方がいいと思える一冊です。